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宿題をする気が起きないので頭を働かせようと書いてみました、北斗の二次創作小説。
リュウガ&ジュウザ編
*これは月見里の勝手な妄想が展開されている捏造ショートストーリーです。
全て嘘っぱちなので本気にしないでください。
↓ここから
*Brothers*
ケンシロウと、あるいはラオウや宿敵と闘った男たちは、華々しく散ったあと天に帰った。
これは彼らの天界でのその後の様子を描いたものである。
「ジュウザ!何処に行った!!」
真っ昼間から近所に響き渡る怒声に、トキはやれやれと家の外に出て、声の主の元を尋ねた。
長閑な午後に騒音を撒き散らしているのは、トキと共に天に来たリュウガである。
「リュウガ、どうかしたのか?」
トキが声を掛けると、リュウガは忌々しそうに眉を顰めて答えた。
「どうしたもこうしたもない!あの愚弟、今日こそは部屋を綺麗にしろとあれほど言い聞かせたにも関わらずエスケープしおったのだ!!」
「……………」
怒り狂うリュウガの様子を見て、トキはまたか、と肩を竦めた。
長い間離れて暮らしていた彼らは、天に来てから特に行くところもないのでと半ば仕方なく同じ家に住んでいる。
初めはリュウガが一人で住んでいたのだが、後からきたジュウザが転がり込んだのだ。
とは言うものの、ジュウザにしてみれば同居とはいえ寝るところがあれば良いや、という程度のものに対し、リュウガは同居するならするでそれなりの家事を手伝え、という意見の食い違いが大いにあった。
そこにきて、リュウガの方が兄であるため、ジュウザが何かやらかすたびにリュウガがブチぎれて説教、という図式が成り立ったわけである。
「虫でも湧いたらどうしてくれる、あのアホ雲め!」
「まぁ…そうカリカリしなくても良いじゃないか。ジュウザも子供じゃないんだ、そのうち片付けるだろう」
「甘いなトキ。そのうちそのうちと思っていればもう一週間も過ぎており、気づけば散らかっている卑猥な本の数が増えていた。おまけに俺が買っておいた夜食まで食い散らかしてある始末!おのれジュウザ、このままでは済ませんぞ…!」
「………」
すでに部屋の片付け云々よりも夜食の恨みのほうが強い気がしないでもない。
しかし確かに、共同生活において食の恨みは恐ろしいものである。
ちょっと目を離した隙に後で食べようと思っていたものが無くなっている、名前書いといたのに誰だよ食べたの!?という論争はトキも何度か経験済みである。
ちなみに彼の場合は犯人は大抵師父であるリュウケンか兄のラオウだった。
下の二人は上を見ているからか案外そういう所はきっちりしていた。
ジャギなんか名前が書いていないものでもわざわざ食べても良いのかと聞いてくる始末だった。
それはさておき。
「何、そのうち帰って来るさ」
「…だといいがな。この上キノコでも生え始めたら俺はあいつを本気で粗大ゴミ置き場に捨てに行く」
腕を組んでしみじみと語る姿は、やはりどことなく兄らしい。
それを見て、トキは幼い頃のラオウの姿を思い出した。
憎まれ口を叩きながらも弟を心配するその目は、どこの兄でも似たようなものだ。
「ジュウザを心配しているんだな」
「ふん、誰が心配などするか。あんな万年下半身発情男など」
「でも、それならわざわざここまで探しに来ないだろう」
トキが尋ねると、リュウガはばつが悪そうな顔で呟いた。
「………色々あったからな」
「…幼い頃の話か?」
「……俺の父は…」
リュウガはそこで周囲を確認して、トキに無言で、誰にも言うな、といった空気を見せてから口を開いた。
「…父はあいつを認知しなかった。あれは妾にもなれぬ側女に産ませた子だから、と」
「……!」
「あいつが生まれてから数年後、あいつの母は死んだ。罪悪感から父はあいつを南斗の道場に引き取った。だが、俺は物心つくまで弟がいるとは知らなかった。あいつに初めて会ったのは10を過ぎてからだ」
初めてジュウザに対面した時、リュウガは面立ちが父によく似た彼にどことなく縁を感じたという。
それで、ふと昔、父に仕えていた側女がジュウザが生まれた辺りから居なくなったということに気づいて、父に事のあらましを尋ねたのだった。
彼はもしや自分の弟ではないのか、幼い頃に仲良くしてくれたあの側女は何故突然いなくなったのか。
「俺が父を問い詰めたとき、父は何も言わなかった。だが、それで俺は全てを理解した。それでも二人には言わなかった。自分の父親が女を孕ませ捨てるような非道であると思わせたくなかったからだ。俺が腹違いの兄だとあいつが知ったのは、ユリアが妹だとヤツが知ってからだ。今考えてみれば、あの時はっきりと知らせておいた方がずっとジュウザのためにも良かったのだろうが…」
「…そうか…」
「…もう済んだことだ。今更どうしようもない」
そういって話を終わらせると、リュウガはつまらん話を聞かせたな、と言うとトキに苦笑した。
「いや。なかなか興味深い話だった」
「そうか。…さて、俺はそろそろ家に戻ってみる。阿呆が帰ってきているかも知れんしな」
「はは、そうか」
「では失礼しよう」
去り際に、リュウガはトキを振り返ると、それと、と付け加えた。
「もしジュウザを見かけたら伝えておいてくれ。"夕方までに帰ってこなければお前の秘蔵本を全部纏めて廃品回収に出してやる"とな」
「うむ。わかった、伝えておこう」
頼みを快諾したトキを見て、リュウガは安心したようにそのまま帰っていった。
その後姿を見送りながら、トキはちらりと自分の家の茂みに目をやり、声を掛けた。
「さて、聞いたとおりだ。夕方までに帰らなければ、お前の大事なピンク色の本が廃品回収に出されるぞ、ジュウザ」
「…ちっ」
舌打ちしながらも植え込みから渋々姿を現したジュウザは、決まり悪そうな顔で憎まれ口を叩いた。
「どこの学級委員長だ、あの似非王子気取りめ」
「そういうな。いい兄じゃないか」
「誰がだよ。あんな年中ヒステリー起こしてるような潔癖症男、兄貴じゃないね」
そういうジュウザの表情は、どんな顔をすればいいのかわからない、といった様子である。
「…勝手に何でもかんでも自分の所為にするなっての。そういうとこが嫌いなんだ、あのボケ」
「そう思うなら、今日のところは帰って部屋の掃除をしてやるんだな。あの様子だとそのうちお前の部屋も掃除し始めるぞ」
トキがそういうと、ジュウザは嫌そうな顔をして頭を掻いた。
「わーかったよ。帰ればいいんだろ、帰れば」
「もうあまり怒らせてやるんじゃないぞ」
「そりゃムリだ」
あいつ怒らせんの楽しいもん。
そんなことを言いながらリュウガが去ったほうに向かうジュウザを見送ると、トキは呟いた。
「なんだかんだ言って、仲がいいくせに」
おそらく家に帰ってからもケンカを繰り広げるであろう二人を想像して、トキは一人小さく笑ったのだった。
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北斗の拳への愛を糧に日々生きています。
あと関係ないけど日本の妖怪を愛してます。